KISSA BOOKSについて

ショップでは KISSA BOOKS で出版した本、もしくは他の出版社と関りがあった本などを取り扱っています。

 KISSA BOOKS は2022年より、出版社としてスタートしました。「KISSA」はフィンランド語で「ねこ」を意味し、版元としての1冊目の本は2012年にオープンした gallery kissa と初期の頃から関りのある彫刻家はしもとみおさんの絵本の新装復刊となります。復刊ですが、新たな判型で絵は描き直し、装丁もオリジナルです。なおギャラリーでは本の取り扱い他、今でも様々な展示や、ワークショップなどを行っています。出版を始める直接的なきっかけは2021年に刊行した井上奈奈さんの著書「星に絵本を繋ぐ」に関わったことです。当著書は井上奈奈さんの絵本作品集、絵本作りのエッセンス、2019年よりギャラリーで開催している「創作絵本ワークショップ」の内容紹介という3部構成になっています。そして「絵本は総合芸術」という井上奈奈さんの言葉が著書の制作の手伝いを通じて深く実感しました。本の出版後に著書の版元である雷鳥社に以前勤務され、今はフリーの編集者として仕事をされている谷口香織さんと再度会う機会があり、谷口さんの全面協力のもと、出版社を立ち上げて本を出版するに至りました。

 出版経営という意味では、現在1人しかいない小さな出版社ですが、本は決して1人では出来るものではありません。出版に関わる、著者、編集者、デザイナー、カメラマン、デザインソフトのIT業者からパソコン製造・販売業者、木材から紙パルプなどの資源の採取から加工、紙の製造と加工業者、インクの製造業者、印刷業、印刷加工業者、製本業、流通取次会社、物流業者から書店と、他にも様々技術の伝承や研究など、先人から含めると途方もない人が関り、どこかが欠けても本を出版して、本を手にしたいと願う多くの読者の方々1人1人に届けることが出来ません。まさに「総合芸術」と言える所以です。

 今回出版社を立ち上げるにあたって、小さな出版社の最大の難関とも言える全国書店に本を並べるための「本の取次」に関して、まだ1冊も本が出来上がっていない2022年5月の段階で心強く取引を承諾いただいた鍬谷書店には感謝を申し上げます。おかげで全国どこの新刊書店からも KISSA BOOKSの本を1冊から手に入れることが出来ます。

 まだスタートしたばかりですが、本を手にした方の心に届くような本、いままで見たことがないような本など、色々な挑戦を行いたいとおもいます。全国の多くの書店で KISSA BOOKS の本が並ぶ日を願って。

2022年 KISSA BOOKS 瀧本佳成